Vol. 64 2026年 春の号

この号のご案内

1. 会⻑挨拶|2. 春の例会のお知らせ|3. 領事館からのお知らせ|4. 国際交流基金からのお知らせ |5. 会計からのお知らせ|6. 秋の例会の報告|7. 大学•短大レベルからの報告|8. 学園•小•中•高校レベルからの報告|9. 学校便り|10. 先生紹介|

1. 会長挨拶 南雅彦 

Fall-school

2026年が幕を開け、ここサンフランシスコでも桜祭りの季節を迎えようとしています。会員の皆様もそれぞれの現場で日々の教育活動に取り組んでおられることと存じます。

本年度もNCJTAは、AATJを通してグローバルな日本語教育の発展に寄与すると同時に、会員同士のつながりを一層深めることを大切にしてまいります。小中高・大学レベルの勉強会や春・秋の例会を通して、互いに学び合い、支え合える機会を広げていきたいと考えております。

本年は、会員の皆様からご要望の多かったAI(人工知能)をテーマに例会を企画いたしました。春の例会(4月25日)では齊藤和子先生、秋には徳田淳子先生をお迎えし、日本語教育におけるAI活用について実践的な視点から共に考える機会といたします。

また、小学生お話大会や中高校生スピーチコンテストなどの地域イベントも、学習者の成長を支えるとともに、私たち教師を結びつける大切な場です。本年も引き続きご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

第51回 小学生お話大会 入賞者の皆さん

 

2. NCJTA 春の例会のお知らせ

今年度の春の例会は 2026年4月25日(土) に オンライン(Zoom)にて開催されます。

Right to Think in the Place to Think:
K–16 にひろがる「考える日本語学習」と W&T手法による教室デザイン-

ことばと思考をつなぐリテラシー育成と、AIと共存する学びの再設計
と題して、齋藤和子先生にご講演いただきます。

前半は齋藤先生が実践されている具体例をお話しいただき、後半は具体的な授業への取り入れ方をブレイクアウトルームでの活動を交えながら考えていきます。皆さまのご参加をお待ちしています。

テーマ:「Right to Think in the Place to Think」
K–16 にひろがる「考える日本語学習」と W&T手法による教室デザイン-ことばと思考をつなぐリテラシー育成と、AIと共存する学びの再設計について

講師:齋藤和子先生 (Hunter College, CUNY and Bard High School Early College Bronx)  

日時: 4/25 (土) 1:00 pm – 3:10 pm (PDT)

参加登録のリンクはこちらからどうぞ。

フォーマット:Zoom  
*参加者の方々には、4月23日 (木) にZoom リンクをメールでお送りします。

スケジュール (tentative):

1:00 pm - 1:05 pm 開会の挨拶 NCJTA会長
1:05 pm - 1:10 pm Japan Foundation からのお知らせ
1:10 pm - 2:00 pm セッション1:齋藤先生のご講演と質疑応答
2:00 pm - 2:10 pm 休憩
2:10 pm - 3:00 pm セッション2:グループワークとシェアリング
3:00 pm - 3:10 pm NCJTAからのお知らせ、記念撮影、閉会

 

発表要旨:

本ワークショップでは、生成AIが身近になり、学習者が日常の中でAIに触れる場面が増えています。その一方で、思考が発達途中にある学習者が十分なガイドなしにAIを使うことには、彼らの「考える権利(Right to Think)」を損なう心配もあります。本研修では、教室を “Place to Think(考える場所)” と再定義し、書くことを通じて自分の考えを発見し、思考を言語化して深める Writing and Thinking(W&T)手法 を軸に、K–16 の多様な学習段階に対応した、初級クラスから取り入れられるリテラシー育成と、日本語で「自分の言葉をつくる」学びのデザインを提案します。

 

また、巷にあふれる補助教材や汎用的なAIツールでは、教師が本当に達成させたい学びの意図が必ずしも反映されません。教師自身がAIをデザインし、AIに“教師の意思”を埋め込むことで、家庭学習にも教師の目的やねらいを確実に届けることができます。 さらにAIを、学習者に対しては “家庭学習の伴走者(教師の分身)” として、教師自身に対しては “思考の壁打ち相手” として活かす方法にも触れ、明日から学習者に「考える」体験を届けるための具体的な授業の工夫を、参加者の皆さまと共に考えていきます。

 

齋藤先生より会員の皆様へのメッセージ

この度は春のワークショップにお招きいただき、ありがとうございます。Hunter College(CUNY)で日本語教育に携わっております、齋藤和子と申します。

生成AIが身近になる中で、日本語の授業でも「AIをどう使うか」が話題になることが増えてきました。一方で、私自身は最近、AIの使い方そのものよりも、教室で私たちは何を大切にしたいのかを改めて考えるようになっています。

齋藤和子先生

高校や大学で日本語を教える中で感じてきたのは、「理解しているか」を確認することと、「考えているか」を育てることは、必ずしも同じではないということです。限られた授業時間の中で、私たちはどこまで学習者に「考える経験」を届けられているのだろうか-そんな問いが、今回のワークショップの出発点です。

NY州やカリフォルニア州が示す卒業生像を見ると、今求められているのは、正解を知っていることよりも、文脈を読み、判断し、自分の言葉で説明できる力であることが分かります。では、日本語教育は、その力にどのように貢献できるのでしょうか。

当日は、AIを使う・使わないという二択ではなく、AIとどのように役割分担をしながら、日本語の授業を「考える場」にしていけるのかを、皆様と一緒に考えていきたいと思います。結論ありきではなく、現場の実感を持ち寄る時間になれば幸いです。

皆様とお会いできることを、楽しみにしております。

3. 領事館からのお知らせ

着任のご挨拶

はじめまして。この度サンフランシスコ総領事館に着任した中嶋亜弥と申します。様々な機会に直接お目にかかれますことを楽しみにしております。どうぞよろしくお願いいたします。

さて、春は桜の季節。2月の雨とその後の暖かさで、市内のボタニカルガーデンでは例年より早い開花が見られたそうです(3/1付、San Francisco Chronicleより)。日本と大きく気候の異なるこの地でも桜は春に咲くものと知り、なんとなく不思議な気持ちになりました。開花を待ちわび、花を愛で、散る花びらを切なく見送る。そんな春をサンフランシスコで迎えられることが何とも嬉しいです。

そして、春は北カリフォルニアのお祭りの季節でもありますね。4月11日にサンフランシスコ日本町で開幕する北カリフォルニア桜祭りを皮切りに、サウスベイではサンノゼ日系祭りや、クパチーノ桜祭り、ソノマMatsuri!、サンタクルーズの日本文化祭等目白押しです。ぜひ北カリフォルニアで「日本の春」を一緒に楽しみましょう!

(在サンフランシスコ総領事館 中嶋 亜弥)

クパチーノ桜祭り 総領事館ブースより

 

4. 国際交流基金からのお知らせ

Updates from the Japan Foundation Los Angeles (JFLA)

皆様、こんにちは!Here are some updates and general information from JFLA. 

March saw the conclusion of two conferences, the CLTA event in Sacramento, and the AAS/AATJ event in Vancouver. The Japan Foundation had booths at both events, and we learned a lot about recent events in the Japanese language education world. Some common themes were the rise of AI, the value of language education, and how to better advocate for programs.

CLTA, AAS/AATJ Conferences

Last October, JFLA partnered with AATJ to hold a series of workshops to strengthen future leaders of Japanese language education in the US. We particularly focused on how to deal with student and teacher shortages by improving recruitment and retention numbers. Every participant provided wonderful insight and we are looking forward to meeting these great leaders again soon! 

Sakura Network Leadership Training

If you have any questions or would like to contact JFLA, please contact Jared McClellan:
(jared_mcclellan@jpf.go.jp)

(Japan Foundation, Los Angeles Jared McClellan)

5. 会計からのお知らせ

NCJTAの年会費は、一般16ドル、学生6ドルです。2026年度の会費(2026年1月1日から12月31日まで有効)を未納の方、もしくは新会員の方は、オンライン (https://ncjta.org/membership/#howtojoin) で申し込みの上、PayPal 、Venmo、または、クレジットカードで会費のお支払いをお願いいたします。

なお、AATJとNCJTAのDual Membershipをご登録なさった方は、AATJからの領収書を会計担当(ncjta21@gmail.com)までお送りください。こちらで会員更新をいたしますので、NCJTAのウェブサイト上で更新をしていただく必要はございません。

お支払いに関してご質問がおありの方、PayPal、Venmo、クレジットカード以外で会費のお支払いをご希望の方は、会計担当(ncjta21@gmail.com)までご連絡ください。

(NCJTA会計 津野遼子 岩田真奈美)

 

6. NCJTA 2025年 秋の例会の報告

2025年10月18日(土)に「多読から広がる学びとその可能性」と題して、ペンシルベニア大学の高見智子先生にご講演いただきました。前半は、高見先生による多読の理論と実践例をご紹介いただき、その後くろしお出版で多読教材を担当されている相澤フヨ子さんに、オンライン教材の紹介と教材を実際に利用している教師や学生の生の声やデータなどご紹介いただきました。後半は、参加者によるグループワークを行いました。今実際にクラスの一貫として、もしくは授業時間外に多読を取り入れている先生方、また過去に取り入れた経験のある先生方にはその体験談をお話しいただきました。今後取り入れたいと考えている先生は、どのような形で実現可能か探り、また実現させるためのアイデアを交換しました。今回の例会を通して、読みの活動にあまり時間が割けない状況の中で、多読を上手に活用し、学習者に読む楽しさを味わってもらいたいとの気持ちを新たにしました。

(NCJTA 前役員 斉藤百恵)

2025年 秋の例会参加者の皆さん

7. 短大・大学レベルからの報告

2025年 秋の勉強会 

11月16日 (日) にZoomにて勉強会を開催し、13名の先生方にご参加いただきました。今回のテーマは「AIの活動例:教師から学生への移行とAIに関するガイドライン」で、各校のAIガイドラインやAIを活用した授業の成功例・課題についてグループで意見交換を行い、その後全体で共有いたしました。各大学・プログラムの具体的な規定の紹介や先生方の実践例に加え、AIの普及状況や今後の可能性、懸念点についても、様々な見解やアイデアの提起がなされました。日々進化するAIをはじめとする新たなテクノロジーとどのように向き合い教育に取り入れていくか、どのように効果的に活用していけるのか、依然として試行錯誤の段階ではありますが、他校の取り組みを学ぶ貴重な機会となりました。

(短大・大学代表 宮本百合子 本橋壮一郎)

2025年 秋の勉強会参加者の皆さん

 

2026年 春の勉強会 

3月8日(日)にZoomにて行われた勉強会のテーマは「モチベーションを高めるクラスルームマネジメント・今後の日本語教育の展望」でした。15名の会員が参加し、日本語教育生き残りに対して現在抱えている課題、学生のモチベーションを高めるために取り組んでいる実例や日本語プログラム外との協働などについて共有し合いました。まず、去年の10月に開催されたJFLAさくらネットワークリーダーシップサミットに参加された副会長の矢幡先生から研修内容をご報告いただきました。それから、各グループで意見交換を行い、全体で共有し合いました。課題としては、学生数の減少、学習継続のモチベーションの低下、学習者のメンタルヘルスの問題などが挙げられました。それに対し、取り組みとしては、日本でのインターンシップの紹介や日本語履修認定証の発行など、具体的な事例が紹介され、大変有意義な会となりました。

(短大・大学代表 本橋壮一郎 宮本百合子)

2026年 春の勉強会参加者の皆さん

8. 学園 • 小 • 中 • 高校レベルからの報告

2026年 春の勉強会

2月28日(土)に開催されたK–12レベル春の勉強会には、韓国、ワイオミング州、ミネソタ州、そしてカリフォルニア州(ロサンゼルス、サンディエゴ、サンフランシスコ)から、大学教員4名を含む計12名の先生方にご参加いただきました。

今回のテーマは、事前アンケートで最も関心が高かったテクノロジー分野「教員が使うAI」でした。授業準備にGoogle Geminiを活用されているスロツビー先生に実例を交えてご説明いただき、その後のディスカッションでは、AIを使いこなすためには、まず自分の趣味や日常生活の中に取り入れていくことが上達への近道であると教えていただきました。

最後は雑談形式で、大学の先生方から高校などでの生徒のAI利用状況について質問が出たり、縦のつながりによる情報交換もでき、次回の勉強会につながる有意義な時間となりました。

(学園・小・中・高校レベル代表 井上由佳 スロツビー薫)

9. 学校便り

地域とつながる日本語教育の実践

―俳句ポスト設置と企業連携にみる2025年秋学期の取り組み―

サクラメント州立大学 増山和恵

2025年秋学期、サクラメント州立大学の日本語プログラムは、言語学習を文化理解・社会参加・将来の進路形成へとつなげる学内外連携イベントを実施しました。10月2日には松山市・サクラメント市姉妹都市提携45周年を記念し、俳句ポストの設置記念式典を開催。松山市が米国に初めて設置した公式俳句ポストであるため、式典には松山市長をはじめとする訪問団、大学長、プロボスト、学部長、学生、地域住民の方など多くの参加がありました。また、事前に行われた俳句ワークショップや式典後の懇親会は、学生が創作力、リーダーシップ、異文化能力を発揮する機会となりました。11月4日には、日本語教育と北カリフォルニアの日系企業をつなぐフォーラムを開催し、官民の講演者との対話や企業、工場訪問を通し、学生が教室外で社会とつながる実践的な学びを深めました。これらの取り組みは、日本語教育が地域社会と結びつき、学生の視野と自信を広げる良い機会となりました。

大学ユニオンに設置された「松山俳句ポスト」の除幕式。大学関係者、松山市からの訪問団、学生代表の参加。

 学生たちがフォーラムで日本政府・企業関係者と交流し、その後キッコーマン食品株式会社の訪問研修。

 

体験学習-肉じゃがを作る!

スタンフォード大学 久保百世

2月6日、スタンフォード大学の「Second-year Japanese Language, Culture, and Communication」のクラスは、いつもの教室を離れ、外での特別な体験学習を行いました。

このクラスは、「日本語で何ができるか」を習熟度指標として学習を進めています。今回は、和食を通して日本の食文化を体感するために、実際に肉じゃがを作る体験学習を行いました。キャンパス内で和食販売をしているKunugi Noodleの久保田さんとアシスタントの方の協力のもと、学生たちがプロの調理師の監督下で肉じゃが作りに挑みました。

「だし、アク、炒める、材料、ml、大さじ」など、初めて聞く単語を前日の授業で学び、手順を覚え、そのレシピ通りに一つひとつの工程を進める学生たちの姿は感動的でした。「美味しい肉じゃがができた」と喜ぶ学生たち。お裾分けとしていただいた甘めの肉じゃがは、「来週の単語クイズの採点は少し甘めにしようか」とさえ思うほど美味しかったです。

協力者:Kunugi Noodle

 

肉じゃがを調理中の学生たち

10. 先生紹介

モーリス米澤みどり先生

🌟 お名前は?どこで教えていらっしゃいますか。

モーリス米澤みどりと申します。「モーリス先生」は日本史専門の教師だった主人のことなので、私は日本語のクラスでは旧姓を使っています。北カリフォルニア日米協会のグループクラスとプライベートレッスン、それからAPの日本語を目指している高校生に教えています。

🌟 日本語教師はいつから?

初めて日本語を教えたのは1980年代の初め、ボートピープルと呼ばれていたベトナム人の難民キャンプでした。その頃は中国残留孤児の人たちのクラスでもチームで教えていました。大学で教え始めたのは1985年です。

藤原宮跡コスモス畑にて

🌟 ご趣味は?

音楽が好きで、以前は楽器もやっていましたが、最近はYouTubeで聴くだけになっています。YouTubeを使っているうちに鉄道系やネコの動画もよく見るようになりました。旅行も好きです。

🌟 アメリカ/カリフォルニアに来てから何年ですか。 

最初にアメリカにいたのは1979年から2年間、そのあと台湾や日本の学校で日本語を教えていました。そして1994年に再び渡米して、大学院を経てペンシルバニア州の大学で教え、2015年にカリフォルニアに来ました。

🌟 仕事について、何か一言お願いします。

初めて日本語教師になりたいと思った1970年代には、日本語教師という職業があまり社会的に認知されていなくて、家族や周りに理解してもらうのが大変でした。でも、教えるための知識や教授法などを勉強しながら、学生との交流を通して「これだからやめられない」経験も数知れず、また日本の文化や歴史について深く理解している学生から学ぶことも多く、この仕事を続けられて良かったといつも思っています。

🌟 会員のみなさんへのメッセージがあればどうぞ。

AIなど新しいツールも活用できるようチャレンジしていかなければと思っています。クラスでは、イメージとは異なる日本の姿が垣間見えるといいなと思います。例えば任天堂の本社は京都にある、と言うと驚く学生が少なくありません。日本に興味を持ち続けてくれる学生が増えることを心から願っています。